酒井 邦嘉(東京大学准教授)
「言語の脳科学」について、予備知識を仮定せずに講義する。言語に規則があるのは、人間が言語を規則的に作ったためではなく、言語が自然法則に従っているからである。こうしたチョムスキーの言語生得説は激しい賛否を巻き起こしてきたが、最新の脳科学は、この主張を裏付けようとしている。実験の積み重ねとMRI技術の向上によって、脳機能の分析は飛躍的な進歩を遂げた。本講義では、失語症や手話の研究も交えて、言語をめぐる以下のテーマについて、脳科学の視点から考えることを目標とする。
講義内容は前年度と基本的に同様だが、題材は適宜、追加・更新するので継続受講が可能である。
- 脳−心−言語
- 獲得と学習
- モジュール仮説
- 普遍文法と言語獲得装置
- 言語の脳科学
- 言語の機能局在
- 言語野と失語
- 自然言語処理
- 言語入力の脳メカニズム
- 文法処理の脳メカニズム
- 手話への招待
- <テキスト>
- 酒井邦嘉『言語の脳科学 - 脳はどのようにことばを生みだすか』(中公新書 2002)
- <参考文献>
- D・コグズウェル『チョムスキー』(佐藤雅彦訳,現代書館2004)
- 酒井邦嘉『科学者という仕事 - 独創性はどのように生まれるか』(中公新書 2006)
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