(資料4)

新規採択研究代表者・個人研究者および研究課題概要


○チーム型研究(CRESTタイプ)
戦略目標 「教育における課題を踏まえた、人の生涯に亘る学習メカニズムの脳科学等による解明」
研究領域 「脳の機能発達と学習メカニズムの解明」

氏名 所属機関 所属学部・
学科など
役職 研究課題名 研究課題概要
酒井 邦嘉 東京大学 大学院総合文化研究科 助教授 言語の脳機能に基づく獲得メカニズムの解明 本研究では、言語の脳機能に焦点を当て、言語獲得のメカニズムの解明を行います。第一に母語と第二言語の獲得メカニズムの解明、第二に脳機能に基づく言語獲得の感受性期と、獲得過程における遺伝因子と環境因子の相互作用の解明、第三に言語教育による脳の可塑性の可視化を行います。これにより、精神疾患の発症機構の解明と、脳機能に基づく適切な教育方法の提案を行い、脳科学の成果を広く教育へ応用することを目指します。
櫻井 芳雄 京都大学 大学院文学研究科心理学研究室 教授 高齢脳の学習能力と可塑性のBMI法による解明 覚醒脳のレベルでは、高齢脳の学習能力と可塑性の実態は未だ不明です。そこで本研究では、高齢脳そのものが本来備えている学習能力と可塑性を直接明らかにすることを目指します。脳の神経活動が機械を直接操作するBMIを構築し、高齢個体の運動出力系を機械出力系に置き換えることにより、研究を行います。これらの成果は、高齢化社会における教育の意義や、脳の機能回復を目指すリハビリテーション医学に新たな視点を与えることが期待されます。
杉田 陽一 (独)産業技術総合研究所 脳神経情報研究部門 研究グループ長 幼児脳の発達過程における学習の性質とその重要性の解明 本研究では、幼児期の学習の性質及びその重要性の神経学的基盤の解明を目指します。視覚体験の効果を明らかにするために、実験動物の幼児期に特殊な視覚体験をさせて、その後の発達経過を心理学的方法で検討します。また、視覚体験の効果を生理心理学的に解明するために、単一細胞活動記録及び組織学的方法で線維投射様式を明らかにします。これらの成果は、生物学的な基盤に立った教育システムの開発に多くを資することが期待されます。
多賀 厳太郎 東京大学 大学院教育学研究科 講師 乳児における発達脳科学研究 新生児の行動の初期発達過程と脳の発達の関係については、まだほとんど解明されていません。本研究は、ヒトの胎児期から乳児期における脳皮質の機能的発達と、記憶と行動の発達の機構を明らかにすることを目指します。そのために、乳児の異種感覚統合、言語知覚、運動による外界との相互作用と記憶の発達過程に焦点を当てて研究を進めます。これによって、動的システム論を拡張した発達脳科学理論を構築し、科学的な知見に基づく新しい発達観の創造が期待されます。
中村 克樹 国立精神・神経センター 神経研究所 モデル動物開発部長 コミュニケーション機能の発達における「身体性」の役割 本研究では、コミュニケーション機能の発達における「身体性」に焦点を当て、脳機能画像研究、臨床神経心理学研究、認知心理学研究、神経生理学研究、神経生物学研究、行動科学研究、情報工学研究を組み合わせ、その発達メカニズムの解明を目指します。これにより、子供のコミュニケーション障害の理解が深まることが期待されます。また、コミュニケーションの発達支援のプログラム開発や、障害児を対象としたリハビリテーション研究に発展させ、高次機能障害の霊長類モデルの作成を試みます。
平野 丈夫 京都大学 大学院理学研究科生物物理学教室 教授 小脳による学習機構についての包括的研究 本研究では、小脳シナプス可塑性について、発現・維持・制御の分子機構、また、各シナプス可塑性による神経回路活動への作用、個体の学習・行動に与える影響を解明することを目指します。分子・細胞レベル、組織・個体レベルの双方から研究を進め、包括的な理解を得ることを図ります。これにより、小脳による学習機構の解明が進み、ヒトの学習障害の克服や学習方法の改善・改良にとって有用な知見を提供することが期待できます。

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This page updated on September 18, 2003

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